資金調達Q&A中級編

Q 「既に決算期を3期経過していますが、3期とも赤字です。資金調達は可能でしょうか。」

A 赤字の原因により左右されますが、門前払いということはありません。

【解説】
そもそも、初期投資がかさむ事業の場合、操業当初から赤字になってしまうのは結果的に致し方ないかと思います。
ただし、創業資金融資を計画している場合には、計画段階から赤字ですとそもそも融資がおりない可能性が高くなります。
したがって、創業段階で融資を受けているか否かによって、金融機関の対応も異なります。

①創業段階で融資を受けている場合
創業段階の計画と実績が異なっている結果になりますので、その赤字原因が外的要因なのか、内的要因なのかを分析する必要があります。
売上そのものは経営努力でも限界がありますので、経費節減による黒字化が可能であったか否かが問題となります。
売上高の規模にもかかわらず、役員報酬を多額に設定していた場合には経営責任を全うしていないと判断されかねません。
また、売上が目標どおりにいかないにもかかわらず、経費節減の努力が見えない場合もマイナス評価につながります。
売上高と交際費や会議費のバランスが悪い場合には、経営力そのものの問題となります。
こういった場合には、現在以降から将来にわたっての計画を丁寧かつ具体的例を持って、金融機関に説明する必要があります。
すなわち

・今後の売上高見込
・今後の経費見込
・返済スケジュール
・資金繰り予定

これらが、十分過不足なく説明できれば今までのマイナス評価を上回るプラス評価を受けることができます。
こういった前向きの計画を十分に説明することが大切です。
くれぐれも、「今、資金が足りないから」といった説明を行わないことです。そのような説明は、資金計画がルーズである印象を与えてしまいます。


②創業段階で融資を受けていない場合
初期投資がかさむ事業の場合は、当初3年程度は赤字であっても致し方ない事業は確かにあります。
そういった事業の場合で、かつ、創業段階で融資を受けていない場合には、月次段階での黒字化の実績を理解できるような説明が必要です。
すでに期があけてからは、月次段階で黒字基調であれば融資の可能性はぐっと高くなります。
今後の事業計画などを書類に書き起こし、損益見込、資金繰り見込を今期決算までと、それ以降3年間程度を記載するといいでしょう。
ただし、これも上記①と同様ですが、冗長な経費の使い方は厳しい評価になります。役員報酬の設定が高いのであれば、その次の年度以降の見直しに反映できたはずです。
交際費や会議費にしても、ある程度はコントロール可能な経費です。
費用対効果を十分に検討してきたか否かがポイントになりますので、赤字だからといって門前払いということはありません。



Q 「事業計画の記載方法で参考になるものはありますか」

A 金融機関独自の記載内容の指示が、ある場合とない場合があります。

【解説】
金融機関独自で記載内容の指示がある場合は、損益見込や資金繰り見込のフォーマット形式に多く見られます。
事業展開を文章で示す場合にはとくに指定フォーマットはないケースが多いようです。
指定されたフォーマットであっても、他の金融機関向けに作成したものを転用できる場合もありますので、この点については融資担当者と相談するのがいいでしょう。

とくに記載内容で指示がない場合には
「事業計画書を提出してください」としか伝えられないケースもあります。
これは、申込者の書類作成能力も判断材料になっていると考えてください。
計画書を記述する時間がない、あるいは、記載方法に自信がない、といった場合には外部の専門家に依頼するのもひとつの手です。
外部への依頼は、それ自体プラス評価になります。資金調達という事業活動への対応能力そのものが経営能力の一部であるという認識であるためです。
ご自身で記載する場合には、以下の創業段階の記載例を参考にしながら、ご自身なりに内容を加筆してください。
枠欄に収まるような記載内容では、不十分ですので別紙記載を心がけてください。

https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html



Q 「信用保証協会の保証つき融資は、銀行側のリスクは少ないため比較的審査は甘めでしょうか。」

A 金融機関の審査と保証協会の審査の両面に対処する必要があります。

【解説】
信用保証協会の保証がついていれば、金融機関の元本回収リスクはとても低いものになります。
しかしながら、回収可能性が乏しい相手先に貸付が多額にある場合には、金融機関そのものの融資審査力が問われるわけです。
金融機関は金融庁の検査が定期的に行われます。そのなかで、指摘項目が多い場合には次回以降の検査がより念入りになってしまい、金融機関としても困るわけです。
不必要な検査項目が増えたりなど、より多くの時間と費用がかかることになってしまいます。
したがいまして、日本政策金融公庫以外の融資では、保証協会の保証つき融資しか選択肢がなくなりますので、申込者側も慎重な対応が必要になります。
保証協会の担当者との面談もあります。
面談では、事業面とともに数値面も質問がありますので、タカをくくらないことが大切です。
初回融資に問題がなければ、次回融資以降は保証協会の面談は省略される場合が多いようです。


Q 「金融機関との面談の際には、どのようなことを気をつければいいでしょうか。」

A 金融機関が最も気にするのは元本の返済です。

【解説】
経営者が、経営において最も気にするところは、一にも二にも売上です。
「まず売上ありき」
これは、至極当然のことで、金融機関も売上高の増減は気にします。
しかしながら、売上と同等、あるいはそれ以上に気になる点は「税引後利益」です。まず、資金借り入れの実行の際ですが、借入金の入金は収益ではありません。
同様に、借入金の返済は経費ではありませんので、企業は、税引後利益から元本の返済をしなければなりません。
これは、経営そのものについてもいえることなのですが、売上高がいくらあっても利益が出なければ、経営が成り立ちません。
したがって、いかに売上を上げるかの説明に腐心するのではなく、税引後利益と元本の返済の説明を欠かしてはなりません。

金融機関にとっては

「まず返済ありき」

なのです。


Q 「金融機関と初めての取引を行いたいのですが、平日に時間を作ることができません。担当者に来ていただくことをお願いしてもいいでしょうか。」

A 御社がいわゆる「社会的地位」が高い職業であっても、「来るのが普通だ」ということにはなりません。

【解説】
事業を継続していくと、いわゆる取引先には訪問していただくのが当然のようにお考えになるかもしれません。
しかしながら、何かお願い事をする場合に、先方に「来てくれ」といえるでしょうか。ご自身が顧客の立場であり、かつ、金融機関は貸し出し業務で収益を得ていると言っても、やはりお金を借りるということはお願い事に変わりはありません。
ここはやはりこちらから出向くのが筋でしょう。
まず電話でアポイントをとる際に、先方から「伺せてください」という発言があるまでは自分自身が出向くというスタンスを取っていたほうが無難です。
「このお客さんは高飛車だ」と思われると、社内決裁の際もその担当者はあなたのために上司を説得してくれる気になりません。
また、今までに取引がない場合は、いずれあなたの事業を見に来るはずです。それが、最初になるか後になるかはお互いの話し合いになります。
特に初回は、平日どこかで一時間でいいので、お時間を割いてみてはいかがでしょうか。


Q 「事業を継続していますが、今月中に資金が必要です。金融機関は対応してくれるでしょうか。」

A 対応はしてくれます。ただし、事前準備が悪いという評価がつく可能性があります。

【解説】
雨のときは、誰も傘を貸してくれません。
それと同様に、あなたの会社の資金繰りが苦しいときは、誰も好き好んで積極的な貸し出しをしてくれないのです。
借入実行希望日の2ヶ月前から準備を始め、事業計画書などを用意し、遅くとも、1ヶ月前には、借入希望の旨を金融機関に伝えておく必要があります。
どうしても短期間での融資実行を希望する場合には、その資金の使途を伝える必要があります。
ただし、ここ1ヶ月の間に重要な経営事項の判断があり、その結果資金が必要になったとはいえ、資金が不足しているのではないということを十分に説明する必要があります。
その点が十分に説明できないと、資金不足による借入自由と取られかねず、希望金額には到底及ばない結果を招いてしまいます。


Q 「当社はいくらの借入が可能でしょうか。」

A いくら必要かを示す必要があります。

【解説】
実際にいくら必要なのかということをまず明示する必要があります。
ご質問の趣旨としては、おそらく「当社は最大いくらの借入が可能ですか」という意味かと思います。
プロパー融資であれば、今までのプロパー借入の実績の有無により左右されるかと思います。
そうではない場合、信用保証協会の保証つき融資であれば、協会での御社に対する「保証枠」というものがあります。
経験則ですが、売上高1億円の法人で最大8千万円程度の枠があります。逆算すると、いままでの保証付融資残金と保証枠から概ねの借入枠がわかります。
日本政策金融公庫は、保証協会とは別組織となっておりますので、保障枠は関係ありません。ただし、公庫内の枠がありますので、上記の例であれば、それと同様のお話になるとお考えください。
「最大で」という点をご留意ください。
決算が2期終了したばかりであれば、保証協会と金融公庫、それぞれの枠は今までの借入実績と売上高当の規模によります。
一般的には、売上高の3か月分程度からの融資スタートとお考えください。
創業段階であれば、実績はほぼありませんので、事業計画書を元に売上予想額の2~3ヶ月程度となります。
以上のことはあるにしても、もっとも大事な点は、そもそもいくら必要なのかを適切に説明することです。
資金使途や必要金額がはっきりしない場合には、融資そのものを断られてしまいます。


Q 「いわゆるノンバンクからの融資を受けた場合の、金融機関からの評価はどうなるでしょうか。」

A 資金使途によります。

【解説】
いわゆるノンバンクとは、預け入れ業務を行わない金融機関をいいます。それは、厳密な意味での銀行ではないわけです。
○○ファイナンスや●●リース、といった名称が多いですね。
こういった資金を、リース資産などの購入に使用している場合は、それほど評価が問題になりません。
金融機関からの評価が問題になるのは、運転資金が不足している場合にそういった金融機関からの借入を行った場合です。
他の金融機関からの見方としては「通常の金借入ができなかった」と判断します。
その場合には、最悪のケースとしては、信用保証協会の保証がつけられないといった事態に発展します。
個人資産をまず会社に貸し付けることから始めて、いたずらにノンバンクからの資金調達には頼らないほうがいいでしょう。


Q 「代表者からの借入金が法人にあった場合、評価はマイナスになりますか。」

A それほど問題にはなりません。

【解説】
貸借対照表に代表者からの借入金がある場合ですが、表示上は短期借入金として法人からの返済意図が一年内であることを示しておく必要はあります。
長期借入金として表示すると、一年以上にわたって返済する意図を示すことになり、金融機関の評価もよりマイナス方向になってしまいます。
一方、そもそも代表者からの借入金があること自体が問題かというと、実際に会社資金の不足分を代表者が立て替えたことになりますが、代表者の資産内容も金融機関の審査対象項目になっておりますので、代表者自信の返済能力があるか否かがより問題となります。


Q 「返済スケジュールどおりに返済できない場合にはどうすればよいでしょうか。」

A 金融機関との相談が必要です。

【解説】
金融機関としても、「ない袖は振れない」のは理解してもらえます。そういった場合には返済予定の再設定(リスケジューリング Rescheduling)を行います。
返済元本金額を減らすことなく、返済期間を長期化します。
結果的に、利息返済額が増加しますが、資金繰りが楽になるケースが多いので、こういった選択もあります。
しかしながら、リスケ中は新規の借入は原則としてできませんので、その点を十分検討したうえでリスケ申請するか否かを判断する必要があります。

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